ところが、あまり着目していなかったオラクル社提供の OEL5 (Oracle Enterprise Linux 5) 向けの UEK (Unbreakable Enterprise Kernel) R2 なら、カーネルのベースバージョンが 3.0-stable であることを知り、それならビルドできるのではと、やってみました。
最終的には利用できるようになりましたが、いろいろとトラブルに直面しましたし、もし既に CentOS 5 で運用中で、どうしても ZFS を利用したいということでなければ、やめたほうが良いかと思います。難易度は少し高めではないかと。
わたしが遭遇したトラブルの数々です。
(1) kernel-uek パッケージだけ入れてみたが、UEK カーネル 2.6.39 が起動できない (2) なんとか UEK カーネルが起動できたが、起動時にシステム時刻が狂う (3) 起動時に udev のエラーが出る (4) multipath が動作しなくなり、multipath + LVM のボリュームが正しく初期化できない (5) CentOS 5 標準のカーネル 2.6.18 系では出ていなかった audit のメッセージが出まくる (6) 肝心の ZFS のビルド時、dkms がエラーを吐く (ZFS の利用には支障ないようです) (7) 監視で利用している munin が動かなくなった (8) KVM ゲスト用にカーネルブートオプションで設定していた hugepage 数が、UEK カーネルではなぜか少し不足した (9) KVM ゲストの一つが起動できない (10) UEK カーネルにも ksmd は居るのだが、ksmctl start 出来ないこれらのうち (9) と (10) は未だ解決できておらず、かなりの手間ではありましたが、わたしの場合には、やってみて良かったという印象です。ZFS on Linux 0.6.2 が活用できるようになったのは勿論のこと、CentOS 5 標準カーネルでは提供されない機能(tickless 、zram 、ext4 の discard 、btrfs 等)も利用できるようになりましたので。
もし、当該サーバを CentOS 6 にバージョンアップするとしたら、今回の手間どころではなかったと思いますし、カーネルだけ最新装備にするという、オラクル社のアイデア・策略は、なかなか憎いことを・・・と思いました。
なお、CentOS 5 + UEK + ZFS on Linux 0.6.2 の性能を実験環境(ThinkPad T510)で測定してみたところ、同一マシンのマルチブート環境の CentOS 6 で測定した値と同程度でした。こちらの過去記事の CentOS 5 環境で、UEK の導入練習・試行をしてから、サーバに手をつけました。
2014-06-17追記
ZFS on Linux 0.6.3 がリリースされたので、CentOS 5 + UEK の環境でソース(.tar.gz)からビルドしてみたところ、まだ、ビルド可能でした。別記事で書きましたが、かなり性能アップしているので、迷わずアップデートがオススメかと思います。